映画:白雪姫と鏡の女王 (監督:ターセム・シン)


ターセム・シンといえば現代美術モロパクリ&世界遺産コラージュ作『落下の王国』での、観ながらどこで笑えばいいのか笑うにしても中途半端なシリアス具合で、真顔で虎の威を借りられてもどう反応すればいいのか、まさか「パクれる俺カコイイ」とは思ってないよねと困惑させられるイメージが強い監督さんだったのだが、今回の白雪姫はビックリするほどいいコメディに仕上がっていて、こんな化けっぷりを見せ付けられるんだから行って良かった。なにを書いているのか自分でも判らなくなってきたが要約すると、ちょう面白かった!
くすんだ背景色に色鮮やかな衣装がぱっと目立つターセム節は健在で、それが絵本のような昔話のファンタジックさによく似合っていた。7人の小人がひとりひとりキャラが立っているのも凄いし、そのデザインもカッコイイ。継母役のジュリア・ロバーツ姐さんは笑わせてくれるし、ハンサムな王子様に妙な薬を飲ませてあんな格好させたり、キャラも衣装もここまでやるのかというほど突き抜けていて楽しい。なにより監督の妙なシリアスさが絶妙にコメディに合っていたのが一番大きいのかな。幸せな幸せなエンディングまでが素晴らしい。昔話における「末永く幸せに暮らしましたとさ」という結びが「これなら大丈夫、ちゃんと幸せになれるね」と納得できたのは初めてかもしれない。