今年読んだ本まとめ

今年は16冊しか読んでいないらしい。感想を書いてないのも何冊かある気がするけど、20冊はいかないだろうな。いよいよのんびりまったり古典や名作を楽しむ方針が定着してきていて、最近はシェイクスピアなんぞ再読している。まとめも今年出版された本に限定したらゼロになってしまいかねない。いまのところ読書するのは電車内に限られているので、最近の近距離通勤に加えてウォーキングのため電車に乗らない日が増えているという事情もあり、そろそろ別の時間枠を考えないとまったく読めなくなってしまいそうだ。そんなこんなであんまり冊数はこなしていないのだけども、その中でこれはよかったね! というものを抜粋してみることにする。

ブエノスアイレス食堂』 カルロス バルマセーダ(感想

ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス)

ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス)

冒頭のショッキングな描写から一転して、細々とした料理と日常が淡々と綴られていくのだが、妖しいくらい魅力的な食の描写に惹きこまれる。本能に根ざした悦楽は何よりも強い。

『銃・病原菌・鉄 (上・下) 1万3000年にわたる人類史の謎』 ジャレド・ダイアモンド感想

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫) 文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
いろいろ詳しく知りたい手を出したい欲望はあっても、分野ごとに深くなればなるほど内容についていけるかどうかという悩みがでてくる。文化人類学方面ではこれが礎になってくれる気がする。精進すればいつか読破したいと野望を持っている藤原書店の『地中海シリーズ』も多少は理解できるようになれるかな。

『夜と霧 新版』 ヴィクトール・E・フランクル感想) と 『宮廷の道化師たち』 アヴィグドル・ダガン(感想

夜と霧 新版

夜と霧 新版

宮廷の道化師たち

宮廷の道化師たち

どちらもホロコーストを題材にした本である。できれば目を瞑っていたいけど無視することはできない。紐解けばあのできごとはこれほどまでに、人がただ生きるために哲学的にならざるを得ないような破壊力を持っていたのだとただ呆然とする。

『永遠の都ローマ物語―地図を旅する』 ジル・ジャイエ(感想) と 『古代ローマ人の24時間---よみがえる帝都ローマの民衆生活』 アルベルト・アンジェラ(感想

永遠の都ローマ物語―地図を旅する

永遠の都ローマ物語―地図を旅する

古代ローマ人の24時間 ---よみがえる帝都ローマの民衆生活 (河出文庫)

古代ローマ人の24時間 ---よみがえる帝都ローマの民衆生活 (河出文庫)

地図のほうは去年の年末に読んだのだけど、自分の中では古代ローマ2連発だったので並べてみる。24時間のほうは文庫が出たのだな。行ってみたい過去はどこかと訊かれたら、古代ローママヤ文明とならぶ双璧である。現代日本人の私が特に衛生的な面でどこまで耐えられるか判らないというのが現実的なところだが、それでもどんなだっただろうという想いは千里を駆け巡る。

『女盗賊プーラン』 プーラン デヴィ(感想

文庫 女盗賊プーラン 上 (草思社文庫) 文庫 女盗賊プーラン 下 (草思社文庫)
衝撃だったのがインド世界である。本当にフィクションではないのかと我が目を疑うようなある女性の半生記。去年読んだ『アニマルズ・ピープル』(インドラ シンハ)も凄かったけど、ってあれ? 『アニマルズ・ピープル』の感想を書いてなかったんだっけ。しまった。これは勢いとある種の美しさのある凄い本だったのよ。台頭著しいインド世界の奥深さに呑み込まれそうになる。世界は広い。

アニマルズ・ピープル

アニマルズ・ピープル

『Habibi I・II [日本語版]』 クレイグ・トンプソン

Habibi I [日本語版] Habibi II [日本語版]
これも感想は書いていない。イスラム世界を舞台とした寓話のような物語である。アメコミなのだがここまできたらもうアート作品だ。アラビア文字のカリグラフィは初めて見たけど、美しさもさることながら呪術的な読み解きが独特の世界観を構築している。これ凄いよ。