毎年恒例、誕生日の大盤振る舞いである。今年はカウンターで天ぷらをリクエストしたら、なんと山の上ホテルをチョイスしたという。ええっ、気張りすぎじゃないか、大丈夫か熊!(←喜んでいる)
日本を代表するクラシックホテルですな。設計はウィリアム・メレル。こじんまりした佇まいだがアンティークの風格が漂う。
ふかふか絨毯のロビーを抜けて、いったんドアの外に出たところに入り口がある。
まずはお通しと小鉢二品。天ぷらの準備はたっぷりの大根おろしと天つゆとパウダー状の細かい塩。
海老は頭から出てきて、これがパリパリして美味しい。それから身の部分が3本出てくる。塩、天つゆ、なにもなしで食べ比べ。
隠元は絶妙な歯ごたえで、雲丹はねっとりと甘い。
茗荷でさっぱりしたら、稚鮎の爽やかな苦味が駆け抜ける。
ここらへんでテンションが上がりすぎてミニオクラは2個出てきたのを写真をとる前に食べてしまった。鱧には梅肉、これ美味しいわ。東北の人間だもので鱧が初夏の味というのはピンとこないけど、何も知らなくても美味しいものは美味しい。
肉厚であつあつの椎茸、柔らかい鮑。
さくさくの蓮根とボリュームたっぷりの穴子。
そしてこれが真打・名物の薩摩芋。揚げるのに45分かかるらしい。ブランデーをかけていただくと、ねっとり甘い薩摩芋が洋菓子のような味わいになる。ちょっと塩をつけても甘みが引き立って素晴らしい。
お食事はかき揚を天茶にしてもらった。デザートもいろいろ選べるのだけど、これはさっぱりと梅シャーベット。
とても美味しゅうございました。これでお腹いっぱい、大満足でございます。いわゆる名店なので最初は緊張していたのだけど、寡黙な板前さんが一品一品網の上にスッスッと載せてくれつつ控えめに「こちらは塩がお薦めでございます‥‥」とか一言添えてくれるし、出てくるものはみな美味しいしでだんだん気分もほぐれてくる。天バラが判らなかったので訊いたら親切に教えてくれたのが、やっぱり老舗ってこういうところなのね。久しぶりに揚げ物をこんなに食べたせいか、帰り道では身体がぽかぽかして肩こりが軽減された気がするわ。
ご馳走様でした。