映画:シェイプ・オブ・ウォーター(監督:ギレルモ・デル・トロ)

パンズ・ラビリンスの頃から変わってないなー、というのが第一の感想だった。
作中で説明されている通り、童話の人魚姫の後日譚なんだよね。王子様にフラれた後、水の泡にならなかった人魚姫。だから最初から鰓(首筋の傷)がある。どことなくインスマス顔でもある。フラれてから声をなくしたまま地味に生きてたところに故郷の同朋(?)が連れてこられて一緒に逃げるわけだ。なんと、人魚姫はアマゾン出身だったのか!(違
話の筋はそれとして、それになぞらえた何かだったんだろう。いろんな社会的弱者が出てくる。ゲイ、聾唖、黒人、移民。そこにいてもいないものとして扱われていた人々が反乱を起こす。具体的には半魚人を逃がし匿う。ただ彼らも一枚岩ではないし、中には強者に阿るものも出てくる。そのへんのさじ加減も大人向けである。
私事だが事務所にある協力業者さんが挨拶に訪ねてきたときにたまたま私しかいないのを見て「誰もいないからいいや」と宣ったことがある。よくある話だ。男性社員には新人を含め全員に配る名刺を私にだけくれないとかな。そういうときに私は別に声を上げない。ただそういう業者には一切仕事を出さないだけだ。だって連絡先教えてもらってないしぃ。みみっちい仕返しである。
そんなことをつい思い出してしまうような話だった。

ところで最後の水の中で起きたことはおとぎ話だよな。陸の上からは行方不明になったようにしか見えないし、現実的に考えればそれが正解とするのが順当だ。優しく豊かな妄想の世界に繋げるのが最適解というのがデルトロ監督のスタンスなのか、そのへんの心の柔らかさがパンズ・ラビリンスから変わっていない。