資格を取っている

この業界は年度末を越した春はだいたい端境期で暇である。今年は年度末にひと月仕事を縮めたので余計に暇があった。身体が空いている隙に前から取らねばと思っていた資格を取りに行ったらまだ暇なのでまた別の資格を取りに行ってまだイケるかともいっちょ取りに行ったりしていた。職業上細かい資格はいろいろ持っているがまたいくつか増えたのだった。

資格の種類によって1日講習を受ければ貰えるもの、2~3日かかるもの、試験を受けて合格しなきゃ取れないものなどがある。俗に安全教育、特別教育、技能講習、免許資格といわれるものだが、受ける側からしたらどれも「資格」である。

こんな年齢になるまで受験勉強をする人生だとは若い頃には夢にも思わなかったが、慣れてしまえば仕事に必要で周りもそれが当たり前なので時間さえあればどうということもない。しかし勉強するのはいいが体力と時間がないと詰む。脳に刻まなければ試験勉強の意味がなく、過労状態で物を憶えるのは無理なのである。なので疲れている夜はさっさと寝て早朝に起きて勉強している。必要に迫られてそうなっただけなのだが、よく考えると学生時代だったら思いついても到底できなかった変態的な生活である。それだけ聞いたら意識が高すぎてキモい。何年か前に朝活なんて言葉が流行ったっけなーなんてことまで思い出してしまったが、そんなことは今更どうでもいいやな。

 

暇生活を謳歌していたら、なんだかわけのわからない仕事の話に巻き込まれた。いや私は現場の人間なんで、面倒くさい話をされても臨機応変に対応出来たりなんかしない。営業を通してくれ。アイドルが「事務所を通してください」というのと似ているが、私の場合は面倒くさいことを言われるとけんもほろろにあしらって威嚇しながら全部撃退してしまうのである。おばちゃんは一見与し易いと思うかもしれんが、悪いことは言わん、商売の話がしたいなら相手は私じゃないほうがいい。

これを皮切りにひとつふたつと細かい仕事が舞い込み、久しぶりに残業しながら同時進行でちぎっては投げちぎっては投げしてなんとか大型連休は確保したのだった。この程度の工事金額で休みを潰されて堪るかぃ。苦節十余年、私の人件費はそんなに安くねぇ、と思える程度には成長した。