果物賛歌


果物が食べたくなってくると、気温が上がってきたなぁと思う。かほど如実に果物への欲求が増すんである。スーパーへ行くと柑橘類は年中あるけども、農作物なので当然旬はある。
グレープフルーツは4〜5月。似たような柑橘類でスウィーティーというのもあるが、こちらは冬場の11月〜2月となる。また、オレンジの中でもバレンシアは夏、ネーブルは冬など実は様々な種類があってこそ途切れずに供給されているのだった。しかも気候の違う世界中から運ばれてくるので、季節ごとに輸入先を変えることで同じ名前の果物がいつでも店頭に並ぶようになっているんだな。いい時代である。
今の季節ならプラムや桃。マンゴスチンにライチ。パイン、マンゴー、日向夏
水蜜桃というと、いかにもとろけそうな豊かな甘味の中にほのかな酸味が漂うようで色っぽい。「無錫の水蜜桃」というのが有名だそうだが、桃源郷という言葉もあるくらいだから昔から中国では桃がことのほか好まれているのだろうな。そしてこれは初夏の果物なので、秋には梨なのだな。
以前、福島に住む友人から立派な桃が送られてきたことがあった。あのえもいわれぬ香りと産地ならではの味は、なにものにも代えがたい。夏には山形の方からラ・フランスを戴くと、これまたスーパーで売っているのと同じ果物だとは思えないほど芳醇で美味しい。秋にはみずみずしい利府梨。晩秋には蜜の入った青森の林檎。仙台石垣苺。果物は鮮度が命である。摘みたての贅沢な儚いあの香りを食べると、本当にそう思う。
ああ、美味しい果物をたらふく喰いたい。昨日、辛いものを食べすぎたせいだろうか‥‥。