前半は予告編で観たまんまの展開。前半はね。後半は『え? あれ?』ということになるので、観てのお楽しみである。しかしスパイものというからもっと複雑で観るものを騙すような展開になるのかと思いきや、謎解きのようなものはほとんどなくてとても素直なスパイ大作戦だった。
捻りのあるストーリーや幻覚と現実の境目が曖昧な小難しい話も好きなのだけど、こうしたストレートな展開もわりと嫌いじゃない。ニキータの例もあるけれど、子飼いにして英才教育を施された細っこい女性が、頑張ってガンガン闘うというのは、それだけで絵になるものなのだよな。少女では『やらされてる感』が前面に出て陰惨さが勝ってしまうものだが、そこは我らが闘う女・アンジェリーナ・ジョリーである。姐さんカコイイ!
しかしイマドキ、KGBがXデーを決行するなんて、懐かしいを通り越して実に爽快である。道具立ても大統領暗殺、地下鉄から聖堂まで繋がった地下道、特殊メイクや間に合わせの爆発物など、全体的にレトロなセンスが炸裂しているのが楽しい。いいオトナが観るとニヤリとさせられるんである。これでもし、勢いのいいジャズが流れてたらやりすぎだったろうか。