映画:マリーゴールド・ホテルで会いましょう(監督:ジョン・マッデン)


連日の残業疲れのせいか、殺伐としてないふんわりした映画が観たい気分だったんである。イギリス人のお年寄りが第二の人生でインドへ移住するのだ。それもひとりでは辛いけど、イギリス人同士7人揃ってなので心強い。海外でホテルに長期滞在して悠々自適というとお金持ちのように思えるが、実態は逆らしい。真面目に働いてきたもののそれぞれ世知辛い事情があって物価の安いインドに行くことになったようである。
生命力に満ち溢れたインドの強烈な光に映える美しい色彩と、基本的にはほのぼのとしたお話にほんわかしながらも、こういうエキゾチックな風景の中でこれといったあらすじのあってないような映画というと、もし演じているのが若い美男美女だったらハナも引っかけないところなのだが、お年寄りだと思うと味わい深いと思うのは何故だろう。若者ならわざわざインドくんだりまで行く理由はバックパックの旅で『自分探し』ってやつ? と思うが、お年寄りだとなんか事情があったんだろうな、と思える。若い男女が愛だの恋だのいってても、まあ適齢期だしねくっつくよね若者同士で適当に上手くやってくださいよ、となるが、お年寄りが最後にひと花咲かせたいといえば微笑ましく応援したくなる。全体的に同じことをしていても若者なら「ケッ」で終わりなのに、お年寄りだと割りと共感できるのはどうしてだろう。お年寄りは弱いと思ってるからかな。このままいけば自分もいつか齢をとるわけで、自らの行く末をできるだけ希望のあるものだと思いたいからかな。などとうっかり自分の中の暗部を覗きこんでしまったのは、やはり疲れているせいだろうか。