家庭板まとめサイトの感想文

ここんとこ、仕事仕事で腐っていたので自虐的に2ちゃんの家庭板まとめサイトをまとめ読みして更にうんざりするなどという不毛な試みをしていたのだが、やっぱりいい具合にうんざりすることができたのだった。そこに書かれていることが実話でも虚構でも構わんのだが、どれもこれも完全無欠の被害者になりたがっているのが味わい深い。形式の美というのか単純に好まれる物語は勧善懲悪に行き着くのかな。2ちゃんの特性からいってほぼ一人称なので諍いについても一方からのみの視点で描かれることと、いわゆる「叩き」の存在がそうさせているのだろうが、自分は悪くなくて加害者は「キチガイ」と称されるような「絶対悪」として表現されることが多い。そうして「実話である」のが建前なのでとりあえずはリアル路線で、そこには道を切り開くリーダーもいなければ突飛なアイディアで場を切り抜けるヒーローもいない。経験上、犯罪者級に迷惑な輩というのは確かにいるし、貰い事故というのはあるので不運にぶつかってこられた方々へ同情の念が湧かないわけではない。しかしなんというのかこう、カタルシスの行き着く先が「慰謝料」や「相手が集団内で立場を失う(自分の立場が優勢になる)」に集約されるのだなぁということが目の前に明示されると感慨深いものがある。
一定の制約の元でどんどん洗練され先鋭化していく内容を順を追って見ていくと「慰謝料」に辿り着く。それは「相手がそれほど悪い」ことの証明であり、「自分は被害者である」ということの何よりの証拠となるのだ。そうしたことが勝利と結びつくのは、それを保証する社会システムが確立しているからである。善悪やマナーやモラルといった本来があやふやなものは一定以上の賛同者がいなければ政治的に成り立たないものだが、そうした意味での味方がいると思えることは幸福である。これはかなり大事なことなのだよな。