映画:ブレードランナー 2049(監督:ドゥニ・ビルヌーブ)

映画の前作は35年前。映画の中では30年後。時間の流れは現実の方が35.7%速い。
コアなファンが多いブレードランナーだが、私は若い頃にぼんやり眺めてどういう話なのかよく判らんままになったきりだった。それでも監督がドゥニ・ビルヌーブだし押さえておかねばならんので観てきた。オールドファンである熊に感想を聞かれたので、
「な っ が い」
とひとことで済ませたら、とても哀しそうな顔をしていた。

デッカードって結局レプリカントじゃなかったんだっけ、とか、あれって恋愛だったのか、とか前作のよく判らんかったところがいろいろ明るみに出ていたな。被造物(レプリカント)が自己を得たらそれはいったい何なのか、というのが前作で、今作は肉体があるレプリカント(K)に中身だけがあるクラウドデータ(ジョイ)をあてることで魂とはなんなのかを浮き彫りにする。しかしデッカードのところにいた犬はあれはなんだったのかなと思ったら、Kが使ってた車載の分離する捜査ロボットとの対比だったんかな、とこちらの記事「ヴィルヌーヴ&ゴズリング、よくやった!『2049』は『ブレードランナー』を引き継ぎ、そして超えた:池田純一レビュー」を読んで思った。
レプリカントがコンピューター制御の犬を従えて同じくレプリカントの犯罪者を始末し、帰宅するとAIの恋人が迎えるというのは、なんだか「人類が滅ぶちょっと前の過渡期の情景」っぽくて面白かったな。娼婦までレプリカントだしな。