あめもやい

寒いねぇ。いよいよ長い氷河期の始まりかねぇ。
雨模様に4月も半ばだというのにカーキ色のコートを着て出かける。この分だといきなりドカンと暖かくなりそうな気がする。冬が終わったらいきなり初夏とは、まるでリネンの上着をきる暇がない東北の季節のようだ。
雨で寒いと自分がとても小さくまとまった気がして居心地がいい。音も色も雨粒に遮られて遠くなる。ネットで世界は広がったけども、たくさん楽しい思いもしたけども、遠くまで見晴るかすのがなんでもいいとは限らない。別にネットを装備すれば超人になれるわけじゃなし、自前の身体の大きさも耐久性も以前と同じだ。毎日働いて地道な生活が続くことには変わりない。それにネットは広大でも、見えてる部分はごく一部でしかないのだ。世界はどんなに広くても、実際の生活は自分の狭い交友関係だけで完結しているように。雨が降ると膨張した意識が収斂して一個人に戻る心地がする。
人生談義なんかも酔った勢いで喋り倒せば見栄を張ってエキセントリックなことのひとつも言いたくなるけども、他人事なら無責任に放言できても自分のことは結局フツーが一番。当たり前に普通に常識的に。余計なストレスはいらない。口でいろいろ言うのは簡単だけども、実際に何が出来るといってたかがしれているし、それすら億劫なのが先にたつ。やれやれ、溜息をひとつ。あっちもこっちも立てるわけにもいかないし、自分のすべきことはしたとしても、相手のことは結局その人自身が決めるのだ。そうしていたいなら好きなだけそうしていればいい。さあ選べ。
小さな池のような閉じた世界で静かに好きなことだけしていたい。水底に沈み、水面に落ちる雨の模様を眺めながらやわやわと眠くなる。しっかしホント、テレビを買う気にならねぇなぁ。