こちらに越してきたときに買ったガス台の調子が、とうとう悪くなった。ガス台の2口のうち片方に火がつかなくなった。捻って点火するタイプだったのだが、つまみを押し回ししているうちは火がついているが、手を離すと消えてしまうようになったのである。バーナーキャップの汚れが原因かと、金属ブラシでこすってもヤスリの角で削っても直らない。これまで12年間ろくに手入れもせず使い倒して、表面のコーティングは剥げて錆び、受け皿はこびりついた汚れが金ダワシでこすっても落ちやしない。そろそろ寿命なんだろうと、買い換えることにした。
前のは社長が夜逃げしたせいで職を求めて引っ越したばかりの金欠だったから近所のリサイクルショップで2,000円で売っていたシンプルイズザベストの代名詞みたいなガス台で間に合わせて、それを10年以上も使っていたのだ。60cmの置き台に56cmのガス台を置いてたもんだから変に間が抜けていたりしたが、いまはお陰様で堅気の職業に就いてむしろ過労死しそうなくらい働いているのだから、今度はちゃんと吟味してまともなやつを買おう。こうなったら憧れの水なし両面グリルよ! ガラスコーティングのフラット天板よ!
というわけで憧れのガステーブルを手に入れたのであった。使ってみると両面グリルいいねぇ。片面焼きと比べて単純に加熱時間が半分になるので、水分が飛ばずにふっくら焼けるのだな。もちろん時短にもなる。ついでにココット皿も購入したのでグリル洗いの手間も省ける。技術は進んでいるのだな。コンロに付いているタイマーも焦げ付き防止機能も地味に便利だ。
しかしグリルの火は覗き込まないと見えないし、タイマーで制御してしまうので、いままで勘と目と肌で感じる温度でやっていた料理が、なんだかシステマチックに進んでいくのが不思議な感じである。